潜伏

夫の優しさって何だろう。

強く私を切望するのはナゼだろう。

わかっている。

不便だから。

20年近く寄り添った夫婦なんて、そんなもの。

お互いの役割での生活。

父親だから

母親だから

それぞれが役割をこなす。

家族を食べさせるタメに給料運搬人。

その給料で賄い（まかない）をする。

居れば便利だから。

居ないと不便だから。

父親としての役割。

母親としての役割。

でも

それだけ。

夫婦では無い。

オトコとオンナでもない。

子供を守る。

共通の目標に向かって協力し合う。

同じ目的。

向いてる方向は同じ。

でも、向き合ってはいない。


彼に逢いたい。

笑いたい。

笑ってるフリの笑顔じゃない。

心の底から楽しかった。

彼に逢える事ばかり考えて日々暮らしていた。

深く潜ろう。

もっと、もっと、もっと深く。

もっと、もっと、もっと静かに。

巧みになろう。

彼は待っているハズ。

私の笑顔を待っているハズ。

もっと深く。

もっと静かに。

沈んで行こう。

堕ちて行こう。